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ボクサーに多い網膜剥離

 網膜は目に入った光が像を結ぶところで、カメラでいえばフィルムにあたる場所だ。この網膜が剥がれて、視野が欠けるのが網膜剥離である。網膜剥離は、毎年1万人に1人くらいの割合で発症するが、20代と50代に多い。
 20代に多いのは、強い力が目に加わって網膜が剥がれてしまう外傷性網膜剥離である。 ボクシング選手は顔面を直接打撃される頻度が非常に多いため、網膜剥離になる危険性が高い。 野球やテニスのボールが眼球に当たって起きるケースもある。外傷性網膜剥離は、網膜の一部に穴があき、そこから網膜が浮き上がって剥がれる裂孔原性網膜剥離のタイプだ。 裂孔原性網膜剥離は、近視が強いと起こりやすい傾向がある。一方、網膜に穴があかない網膜剥離として、糖尿病から起きる牽引性網膜剥離、炎症による滲出性網膜剥離などがある。
 網膜剥離の初期症状には飛蚊症(小さなゴミや髪の毛のようなものが見える症状)や光視症(光のようなものがチカチカ見える症状)がある。 このような症状があれば、早いうちに眼科を受診していただきたい。網膜剥離の病状が進むと視野の障害(カーテンに覆われたように物が見えにくくなる症状)や視力の低下が起きる。 網膜に穴があいただけであれば,レーザー治療で網膜剥離への進行を抑えることができるが、網膜剥離の状態になってしまうと手術が必要となる。

(文責:森秀樹)
(メディカルトリビューン=時事)

関連サイト
日本眼科学会: 網膜剥離


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