こちら眼科

ぶどう膜炎

 ぶどう膜炎は、目の中でおきる炎症性疾患だ。ぶどう膜は、虹彩、毛様体、脈絡膜の3つの組織の総称だが、これらのぶどう膜に炎症が起こると、目の中にある透明な前房水や硝子体が濁ってしまう。そのため、物がかすんで見えるようになるが、症状は他にも、充血、飛蚊症、眼痛、視力低下など様々だ。
 この病気は、眼そのものに原因がある場合もあれば、全身性の病気が原因の場合もある。ほとんどの場合は原因がはっきりしないが、原因として多いのはサルコイドーシス、原田病、ベーチェット病といった自己免疫病で、ぶどう膜炎患者の約30%をしめる。細菌、真菌、ウイルス、寄生虫などによる感染症は約15%だ。 
 治療は、基本的には内科的治療で、原因が感染症の場合はその病原微生物に有効な薬が使用される。多くの場合、原因が不明なため、抗炎症療法が中心となる。抗炎症薬としてまずは副腎皮質ステロイド薬の点眼が処方される。軽い場合には、2〜3日で炎症は治まるが、再発をくり返すことが多いので注意が必要だ。重いぶどう膜炎では、炎症が治まった後にも、視力障害を残すことがある。ぶどう膜炎は診断や治療が難しく、専門の眼科医に相談して適切な治療を受けることが大切だ。

(文責:森秀樹)
(メディカルトリビューン=時事)


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