こちら眼科

角膜移植

 角膜は目の一番前にあるドーム状の透明な膜で、水晶体と共にピントを合わせるレンズの役割がある。表面から順に角膜上皮、角膜実質、角膜内皮に分けられる。角膜の透明性は角膜実質のきれいな配列、角膜上皮と角膜内皮による水分調節によって維持されている。角膜が混濁したり、円錐角膜のように変形してしまったときに角膜移植が必要となる。
 角膜移植には、大きく2通りの方法がある。混濁している箇所が浅い場合に、角膜の表層だけを交換する表層角膜移植手術と、全体が濁った場合に、角膜全体を入れ替える全層角膜移植手術だ。最近では、角膜の悪い部分だけを取り換える角膜パーツ移植が普及している。角膜上皮だけを移植する方法や、角膜内皮だけを移植する方法も行われている。角膜内皮だけを移植する方法では全層角膜移植で避けることのできなかった術後の強い角膜乱視を防止することができ、術後早期に視力が回復することができるようになった。
 移植に使う透明な角膜は、亡くなられた人の眼球から得られたものを使用する。角膜は拒絶反応が起こりにくいため、角膜移植手術の成功率は良好だ。成功率は原因となる病気によっても異なるが、円錐角膜の場合では90%以上である。

(文責:森秀樹)
(メディカルトリビューン=時事)


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